久々の再開です。

前回、5月22日の更新以来、長らく休眠状態が続いておりました。実はこの間、様々な迷いがあり、更新が途絶えておりました。その迷いとは、一つには、これまで使っていたサイト作成ツールが少し使いにくく、サイトのリニューアルないしは変更を考えておりまして、更新を停止しておりました。もう一つは、内容的な迷いです。

サイトに関しましては、結局は元のサイトで続行することにしましたが、長い長い試行錯誤の末の結論でした。当サイトはJustSystemのホームページルダーを作って作成しておりましたが、かなり大幅にカスタマイズしております。別のサイトで使っている機能が充実しているWordPressに比べると、少し使いにくさを感じておりましたが、使い慣れたWordPressを使わずに、あえてホームページビルダーを使ったのは、WordPressでは、見た目の印象がやや単調な感じになりがちですので、あれこれ試した結果、ホームページビルダーのこのテンプレートをカスタマイズして使うことにしました。

しかし更新が重なるにつけ、やはりWordPressにすべきだったかも、との迷いが出てきました。そこでWordPressへの変更に向けてあれこれ試行錯誤を試みましたが、他では余り見かけない、このサイトのデザインを捨て去る決心もできませんでした。WordPressでこのデザインないしは類似のデザインを再現することは、その構造的な特性から、素人のわたしにはもとより、プロにも不可能だろうと思われます。

ホームページビルダーでもWord Pressサイトを作ることはできますが、カスタマイズしすぎたせいなのか、Word Press内では、ホームページビルダー単独で使う場合とページの構成や機能が異なってしまい、両者合体はうまくいきませんでした。

苦肉の策として、このサイト分は別のURLで残し、WordPressの新サイトにリンクを貼るという方法も考えましたが、それでは、このサイトは単なる過去の遺物になってします。文字と写真で画面が一杯になってしまうスマホが主流になっている現在、サイトのデザインにこだわることはほとんど無意味で愚かだとも思われますが、スマホにもかすかながら反映されるデザインの美しさや個性の違いに、ついついこだわってしまい、無駄な時間を費やしてしまいました。

素人ながらおこがましいと思いながらも、悪戦苦闘の一端を披露させていただきましたが、やはりこのサイトを残すことにいたしました。そこでホームページビルダーのマニュアルを丹念に読み返しところ、使い方を十分に理解していないことも分かり、以前よりはスムーズに更新ができそうです。

さてもう一つの理由ですが、絣の美、絣の価値基準をどこに置くかという、本サイトにとってはより本質的な問題をめぐる迷いによるものです。

当初、絣ラボにも書いておりますように、簡素でありながら多種多様な図柄を生み出す、絣のもつ不思議な美しさをご紹介したいとの、非常に単純な動機から始めましたので、手染め・手織りの本絣も化学染料を使用した絣や機械織りの絣も同列にご紹介しておりました。絣の愛好家を増やすためには、本絣のみという限定をはずした方がいいのではないかとも考えていました。

しかし手染め・手織りのみで織られた絣の展示会や、工房などを実際にお尋ねしてその仕事の大変さや質的な違いを実感してみると、両者を同列に扱うことにためらいを覚えせざるをえなくなってきました。となると、すでにご紹介済みの久留米絣1久留米絣2の掲載写真も、両者を区別してご紹介しなければなりません。それどころか、ヘッダー画像として使用している多数の写真の選択も変えざるをえません。

ご紹介済みの写真の大半は、久留米絣協同組合主催の絣フェア開催会場で許可を得て撮したものですので、本絣にせよ機械織りにせよ、久留米絣と認定されたものばかりだとは思いますが、今から両者を区別してご紹介し直すというのは、正直なところ、なかなか大変だとの思いもありました。だからといって、本絣生産者のお立場を考えると、両者混在のままでいいとはなりません。両者混在で同列に扱われることには、本絣生産者のお怒りを買うかもしれません。

しかし、わたしが当サイトを始めた唯一最大の動機、簡素でいながら多種多様な図柄を織り出す、絣のもつ不思議な美しさを国内外で広く共有したいという目的は、本絣はもとより、機械織り絣も十分にその役目を果たしてくれています。

ただ、絣にかぎらず、染織品という実用の用のために作られた製品を、あたかも美術品のように眺めることには批判もあります。民芸運動を創始し、民芸の美の発見者であった柳宗悦も、こと染織品に関しては、実用の用から離れてその美を鑑賞する傾向があったとのことで、民芸の本道からはずれているとの批判を読んだことがあります。そういうお立場からすると、全く無名で目に触れる機会はないであろうとは思うものの、本サイトはけしからんということになるかもしれません。

しかし、単純素朴に美しいものを美しいと感じる心を、様々な定義やルールなどをかぶせて否定することが、われわれの暮らしや社会を豊かにすることになるのかといえば、否といわざるをえないはずです。また、美へのアプローチは、多種多様であるのが望ましいのも確かだと思います。

確かに絣は、生産者の生活を支える生業でもありますが、生み出された絣の数々は、鑑賞を目的に創作される美術作品に負けず劣らぬ美的魅力に満ちています。その美に焦点を当てることは、絣産業の活性化にも大いに貢献できるものと信じています。

ということで、基本的には従来通りの路線で本サイトを運営することにいたしました。今後ともご愛読いただきますよう、念じております。

9月には当サイトを再開したいと思っておりましたが、1日の再開に間に合いました。次回は、新しい絣のご紹介をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

なお、サイトは基本、以前と同じですが、目次やナビなど多少見やすくしております。古いキャッシュが残っている場合は以前のまま表示されますので、クリアして最新のデータを開いてください。お願いいたします。

また、今回初めて「はてなブックマーク」と「feedly」というRSSアプリを設置しました。すでにご存じの方も多いかと思いますが、「はてなブックマーク」は各ブラウザにあるブックマークよりも多機能なアプリですし、「feedly」は、Google提供のRSSのサポート終了を受けて急速に普及しているとのことで、設置してみました。それぞれ、皆様におかれましても登録する必要はありますが、ご利用いただければと思います。

絣ラボ 久本福子

2019年09月01日